易占の立て方

 

易占の立て方は本筮・中筮・略筮とありますが、略筮の筮方をお伝えしたいと思います、略筮は三変筮とも呼ばれておりまして、無駄が究極に省かれた筮方でありますから非常に実践向きであります。それと過去の名人達の易占は略筮が中心であり、易占をするには略筮をお勧め致します。易占を行う際には静かで集中できる場所で、精神を清らかに静かである無の境地で行う必要があります、そして神事であることを決して忘れてはいけません。

 

 道具

●筮具(易占に用いる道具)

筮竹(ぜいちく)

竹を細く削ったもの、太い方が上で細くなっている方が根本。総数が50本必要。絶対数(55)から人間の数(5)を引いた数で50本と決まっています、絶対数とはこの宇宙に存在する全ての数を合計したもの(1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=55)数を現わします。

(ぜい)(とう)

筮竹を収納する竹の筒であり、太極を現わすので円形になっている。

()助器(ろくき)

筮竹を天と地に分ける器。右側が陽で天策。左側が陰で地策。

算木(さんぎ)

陰陽を現して大成卦を示すものです、表側の溝のない面が陽、裏側の溝のある面が陰を表わし、6本の算木で一卦を構成します。

 

●事前準備

①環境を整える

静かな場所で集中できる環境を整える。

②精神を健全に保つ

頭の中を無の状態にして、感情を安定させ究極のリラックスを保ち、身体を弛緩させて、丹田に意識を集中させる。

③筮前の審事(しんじ)

神に問う事を意識する。あまり細かい事は聞かない方が良い、運命や事業・恋愛・対人関係など大きく強くイメージをして、それが潜在意識に届く位のタイミングで、そのイメージを手放す意識をする。

 

●実占

1.筮竹を筮筒から手に取り、太極に見立てた一本の筮竹を筮筒に戻す。

2.筮竹の根本を左手の手のひら真ん中あたりに置き、根本を握る。右手は筮竹の真ん中あたりに添える。

3.丹田((へそ)より指34本分下がったところ)に左手を合わせ、額に筮竹の先端を重ねるようにして構える。

4.目を閉じ、無心になる。頭の中の少しの雑念・想念・感情などがあれば正しい易断を得る事は叶わない。その時の呼吸ですが、先ずは丹田呼吸で鼻から体内の空気を吐きつくし、鼻からまた全てを吸い戻す、この大きな丹田呼吸1回の時間が神と繋がる瞬間です。

 

5.神と繋がる無心の時である一呼吸分の時間を終えて、左手に持った筮竹を扇状に均等に広げて、真ん中程に右手親指を差し込み、そのまま右側の筮竹をつかむ。これを「竹を割る」を申しておりますが。右手で掴んだ筮竹を天策に置き、左手に残った筮竹は地策に置く。

6.天策の方から人に見立てた筮竹を一本拾い上げる。それを左手の小指に引っ掛ける様にして握り込む。

そうして地策の方に置かれた筮竹を左手の残り四本指で持つ。

7.再度片手で扇状に広げて筮竹の本数を数えます。略筮の場合は筮竹を数える行為が三回あります。最初の一回目では内卦を出して、二回目では外卦を出します、そして三回目では『変爻』を求めます。

一・二回目の筮竹の数え方は筮竹を二本ずつとり、「春」「夏」「秋」「冬」と数えていく。それが八本以下になるまで繰り返し、残った本数で卦が決定する。これを「(はち)(ばら)い」とも申します

 

八払い(一回目内卦、二回目外卦)

一本 残ったら乾(天)

二本 残ったら兌(沢)

三本 残ったら離(火)

四本 残ったら震(雷)

五本 残ったら巽(風)

六本 残ったら坎(水)

七本 残ったら艮(山)

零・八本残ったら 坤(地)

 

8.八払いを二回繰り返すと、内外の卦が固まって大成卦が完成する。算木では上三本が外卦を示し、下三本の算木が内卦を示す。

9.最後に、導き出した大成卦の中から一番強い勢力のある『変爻』を決定する、三回目の筮竹の数え方は筮竹を二本ずつとり「天」「地」「人」と数えていく。それが六本以下になるまで繰り返し、残った本数で変爻が決定する。これを「六払い」とも申します。

 

六払い(三回目変爻)

一本 残ったら初爻

二本 残ったら二爻

三本 残ったら三爻

四本 残ったら四爻

五本 残ったら五爻

零・六本 残ったら上爻

 

●易断

略筮が終わって大成卦が得られました。この得られた卦の事を『()()』と申します、この得卦が易断の中心となってくるのですがここからが解釈の部分になってまいります、得卦から象意を読み取って易断を下す。同じ卦でも、それを観る人の解釈の深さ・広さが違うと、同じ易断にはならないのです。その象意を読み取る上で重要なのが『爻辞』『卦辞』でありまして、これをどの様に解釈する事が出来るかによって易断の質は大きく変わります。

 

●やってはならないこと

・やり直しをすること。

出た卦が芳しくないからという理由でもう一回立てて違う卦を得るというのは易占に対する冒涜と見なされる。

・法律に引っかかることや人の生死を占うこと

・ギャンブル、投資を占うこと

邪な気持ちで占ってはいけない。どうせ当たらない。

・易断は主観を挟まないこと

原典に基づいた解釈をする。