繫辭上伝

□繫辭上伝1
天尊地卑。乾坤定矣。卑高以陳。貴賤位矣。動靜有常。剛柔斷矣。方以類聚。物以群分。吉凶生矣。在天成象。在地成形。變化見矣。
【天尊く地卑しくして。乾坤定まる。卑(ひ)高(こう)以て陳(つら)なり。卑(ひ)高(こう)以て陳(つら)なり。貴賤位す。動靜常有り。剛柔斷(さだ)まる。方は類を以て聚(あつ)まり。物は群を以て分れて。吉凶生ず。天に在り象を成し。地に在り形を成して。變化見(あら)わる。】
□繫辭上伝2
是故。剛柔相摩。八卦相盪。鼓之以雷霆。潤之以風雨。日月運行。一寒一暑。乾道成男。坤道成女。乾知大始。坤作成物。乾以易知。坤以簡能。
【是故に。剛柔相い摩(ま)し。八卦相い盪(うご)かす。之を鼓(こ)するに雷霆(らいてい)を以てし。風雨以て之を潤す。日月運行して。一寒一暑(いっかんいっしょ)す。乾道は男を成し。坤道は女を成す。乾は大始を知り。坤は物を作成す。乾は易(い)を以て知り。坤は簡を以て能くす。】
□繫辭上伝3
易則易知。簡則易從。易知則有親。易從則有功。有親則可久。有功則可大。可久則賢人之德。可大則賢人之業。易簡而天下之理得矣。天下之理得。而成位乎其中矣。
【易(い)なれば知り易く。簡なれば從い易し。知り易ければ親(しん)あり。從い易ければ功あり。親あれば久しかるべく。功あれば大いなるべし。久しかるべきは賢人の德。大いなるべきは賢人の業。易簡(いかん)にして天下の理を得て天下の理を得て。位をその中に成す。】
□繫辭上伝4
聖人設卦觀象。繫辭焉而明吉凶。剛柔相推而生變化。
【聖人は卦を設け。象を觀て。辭(じ)を繫(か)けて吉凶を明らかにする。剛柔相い推(お)して變化生じる。】
□繫辭上伝5
是故。吉凶者。失得之象也。悔吝者。懮虞之象也。變化者。進退之象也。剛柔者。晝夜之象也。六爻之動。三極之道也。是故。君子所居而安者。易之序也。所樂而玩者。爻之辭也。
【是故に。吉凶とは。失得の象(かたち)なり。悔吝(かいりん)は懮(ゆう)虞(ぐ)の象なり。變化とは進退の象なり。剛柔とは晝(ちゅう)夜(や)の象なり。六爻の動きは。三極の道なり。是故に。君子が居て安んずる所のものは。易の序なり。樂しんで玩(もてあそ)ぶ所の者は。爻の辭なり。】
□繫辭上伝6
是故。君子居則觀其象。而玩其辭。動則觀其變。而玩其占。是以自天祐之。吉无不利。
【是故に。君子は居ればその象を觀て。その辭を玩(もてあそ)び。動けばその變を觀て。その占を玩ぶ。是を以て天より之を祐(たす)く。吉にして利あらざるなし。】
□繫辭上伝7
彖者。言乎象者也。爻者。言乎變者也。吉凶者。言乎其失得也。悔吝者。言乎其小疵也。无咎者。善補過也。
【彖とは。象を言うものなり。爻とは。變を言うものなり。吉凶とは。その失得を言うなり。悔吝とは。その小疵を言うなり。无咎とは。善く過を補うなり。】
□繫辭上伝8
是故。列貴賤者存乎位。齊小大者。存乎卦。辯吉凶者。存乎辭。懮悔吝者。存乎介。震无咎者。存乎悔。是故。卦有小大。辭有險易。辭也者。各指其所之。
【是故に。貴賤を列(つら)ねるは位に存す。小大を齊(ひと)しくするは。卦に存す。吉凶を弁えるは。辭に存す。悔吝(かいりん)を憂うるは介(かい)に存す。震して咎なきは。悔に存す。是故に。卦に小大有り。辭に險(けん)易(い)あり。辭なるものは。各々その之(ゆ)く所を指す。】
□繫辭上伝9
易與天地準。故能彌綸天地之道。仰以觀於天文。俯以察於地理。是故知幽明之故。原始反終。故知死生之說。精氣為物。遊魂為變。是故知鬼神之情狀。與天地相似。故不違。知周乎萬物。而道濟天下。故不過。旁行而不流。樂天知命。故不懮。安土敦乎仁。故能愛。範圍天地之化而不過。曲成萬物而不遺。通乎晝夜之道而知。故神无方而易无體。
【易は天地と準ず。故に能く天地の道を彌綸(びりん)す。仰いで以て天文を觀て。俯して以て地理を察す。是故に幽明(ゆうめい)の故(こ)を知る。始めを原(たず)ねて終りに反る。故に死生の說を知る。精氣(せいき)物と成り。遊魂(ゆうこん)變を為す。是故に鬼神の情狀(じょうじょう)を知る。天地と相似たり。故に違わず。知(ち)萬物に周(あまね)くして。道天下を濟(すく)う。故に過(あやま)たず。旁行(ぼうこう)して流れず。天を樂しみ命を知る。故に憂えず。土に安んじ仁に敦し。故に能く愛す。天地の化を範圍して過さず。萬物を曲成(きょくせい)して遺さず。晝(ちゅう)夜(や)の道を通じて知る。故に神は方なくして易は體なし。】
□繫辭上伝10
一陰一陽之謂道。繼之者善也。成之者性也。仁者見之謂之仁。知者見之謂之知。百姓日用而不知。故君子之道鮮矣。顯諸仁。藏諸用。鼓萬物而不與聖人同懮。盛德大業至矣哉。富有之謂大業。日新之謂盛德。生生之謂易。成象之謂乾。效法之謂坤。極數知來之謂占。通變之謂事。陰陽不測之謂神。
【一陰一陽之を道と謂う。之を繼ぐ者は善なり。之を成す者は性なり。仁者は之を見て仁と謂い。知者は之を見て知と謂う。百姓は日に用いて知らず。故に君子の道は鮮(すくな)し。之を仁に顯(あら)わし。之を用に藏(かく)し。萬物を鼓して聖人と憂いを同じうせず。盛德(せいとく)大業至れるかな。富有之を大業と謂う。日新之を盛德と謂う。生生(せいせい)之を易と謂う。象を成す之を乾と謂い。法を效(いた)す之を坤と謂う。數(すう)を極め來を知るを之占と謂い。變に通ずるを之事(こと)と謂い。陰陽測られざるを之神(しん)と謂う。】
□繫辭上伝11
夫易。廣矣大矣。以言乎遠。則不禦。以言乎邇。則靜而正。以言乎天地之間則備矣。夫乾。其靜也專。其動也直。是以大生焉。夫坤。其靜也翕。其動也闢。是以廣生焉。廣大配天地。變通配四時。陰陽之義配日月。易簡之善配至德。
【それ易は。廣く大いなり。以て遠きを言えば。禦(ふさ)がれず。以て邇(ちか)きを言えば。靜にして正し。以て天地の間を言えば備えり。それ乾は。其の靜かなるや專(まろ)く。その動くや直(なお)し。是(ここ)その動くや直(なお)し。是(ここ)を以て大生ず。それ坤は。其の靜かなるや翕(あつ)まり。其の動くや闢(ひら)く。是(ここ)を以て廣(こう)生ず。是(ここ)を以て廣(こう)生ず。廣大は天地に配し。變通は四時(しいじ)四時(しいじ)に配す。陰陽の義は日月に配し。易簡の善は至德に配す。】
□繫辭上伝12
子曰。易其至矣乎。夫易。聖人所以崇德而廣業也。知崇禮卑。崇效天。卑法地。天地設位。而易行乎其中矣。成性存存。道義之門。
【子曰く。易は其れ至れるかな。それ易は聖人の德を崇(たか)くして業を廣くする所以なり。それ易は聖人の德を崇(たか)くして業を廣くする所以なり。知は崇くして禮(れい)禮(れい)は卑し。崇きは天に效(なら)い。卑きは地に法(なら)う。天地は位を設けて。易はその中に行われる。成性存存(せいせいそんそん)。卑きは地に法(なら)う。天地は位を設けて。易はその中に行われる。成性存存(せいせいそんそん)。道義の門なり。】
□繫辭上伝13
聖人有以見天下之賾。而擬諸其形容。象其物宜。是故謂之象。聖人有以見天下之動。而觀其會通。以行其典禮。繫辭焉。以斷其吉凶。是故謂之爻。言天下之至賾。而不可惡也。言天下之至動。而不可亂也。擬之而後言。議之而後動。擬議以成其變化。
【聖人は以て天下の賾(さく)を見る有りて。其の形容(けいよう)に擬(なぞら)え。其の物宜(ぶつぎ)に象(かたど)る。是故に之を象と謂う。聖人は以て天下の動を見る有りて。其の會通(かいつう)を觀て。以て其の典禮を行い。辭を繫けて以て其の吉凶を斷ず。是故に之を爻と謂う。天下の至賾(しさく)を言えども。惡むべからざるなり。天下の至動を言えども。亂るべからざるなり。之に擬(なぞ)えて後に言い。之を議(はか)りて後動く。擬議(ぎぎ)して以てその變化を成す。】【聖人は以て天下の賾(さく)を見る有りて。其の形容(けいよう)に擬(なぞら)え。其の物宜(ぶつぎ)に象(かたど)る。是故に之を象と謂う。聖人は以て天下の動を見る有りて。其の會通(かいつう)を觀て。以て其の典禮を行い。辭を繫けて以て其の吉凶を斷ず。是故に之を爻と謂う。天下の至賾(しさく)を言えども。惡むべからざるなり。天下の至動を言えども。亂るべからざるなり。之に擬(なぞ)えて後に言い。之を議(はか)りて後動く。擬議(ぎぎ)して以てその變化を成す。】
□繫辭上伝14
鳴鶴在陰。其子和之。我有好爵。吾與爾靡之。子曰。君子居其室。出其言。善則千里之外應之。況其邇者乎。居其室。出其言。不善則千里之外違之。況其邇者乎。言出乎身。加乎民。行發乎邇。見乎遠。言行君子之樞機。樞機之發。榮辱之主也。言行。君子之所以動天地也。可不慎乎。
【鳴(めい)鶴(かく)陰に在り。其の子(こ)之に和す。我に好爵(こうしゃく)有り。【鳴(めい)鶴(かく)陰に在り。其の子(こ)之に和す。我に好爵(こうしゃく)有り。吾爾と之を靡(とも)靡(とも)にす。子曰く。君子その室に居り。その言を出だす。善からざれば千里の外(ほか)之に違う。善からざれば千里の外(ほか)之に違う。況んや其の邇(ちか)き者をや。其の室に居り。その言を出だす。善からざれば千里の外(ほか)之に違う。善からざれば千里の外(ほか)之に違う。況んやその邇き者をや。言は身に出でて。民に加わり。行いは邇(ちか)きより発して。遠きに見(あら)わる。言行は君子の樞機(すうき)なり。樞機の發(はつ)は榮辱(えいじょく)の主なり。言行は。君子の天地を動かす所以なり。慎まざるべけんや。】遠きに見(あら)わる。言行は君子の樞機(すうき)なり。樞機の發(はつ)は榮辱(えいじょく)の主なり。言行は。君子の天地を動かす所以なり。慎まざるべけんや。】
□繫辭上伝15
同人。先號咷而後笑。子曰。君子之道。或出或處。或默或語。二人同心。其利斷金。同心之言。其臭如蘭。
【同人先に號咷(ごうとう)して後に笑。子曰く。君子の道は或は出て或は處(お)る。【同人先に號咷(ごうとう)して後に笑。子曰く。君子の道は或は出て或は處(お)る。或は默(もく)し或は語る。二人心を同じうすれば。其の利(と)きこと金を斷つ。同心の言は。その臭い蘭の如し。】其の利(と)きこと金を斷つ。同心の言は。その臭い蘭の如し。】
□繫辭上伝16
初六。藉用白茅。无咎。子曰苟錯諸地而可矣。藉之用茅。何咎之有。慎之至也。夫茅之為物薄。而用可重也。慎斯術也以往。其无所失矣。
【初六は。藉(し)くに白(はく)茅(ぼう)を用いる。藉(し)くに白(はく)茅(ぼう)を用いる。咎无し。子曰く。苟(いやし)くも之を地に錯(お)いて可なり。之に藉くに茅(ちがや)を用う。何の咎か之有らん。錯(お)いて可なり。之に藉くに茅(ちがや)を用う。何の咎か之有らん。慎の至(いたり)至(いたり)なり。それ茅の物たる薄けれども。用は重んずべきなり。斯の術(みち)に慎みて以て往けば。斯の術(みち)に慎みて以て往けば。其れ失する所なし。】
□繫辭上伝17
勞謙君子。有終吉。子曰。勞而不伐。有功而不德。厚之至也。語以其功下人者也。德言盛。禮言恭。謙也者。致恭以存其位者也。
【勞(ろう)謙(けん)たる君子。終り有り吉。子曰く。【勞(ろう)謙(けん)たる君子。終り有り吉。子曰く。勞して伐(ほこ)伐(ほこ)らず。功有りて德とせず。厚きの至りなり。その功を以て人に下る者を語るなり。德は盛んなるを言い。禮(れい)は恭(うやうや)しきを言う。禮(れい)は恭(うやうや)しきを言う。謙とはその恭しきを致して以てその位を存する者なり。】
□繫辭上伝18
亢龍有悔。子曰貴而无位。高而无民。賢人在下位而无輔。是以動而有悔也。
【亢龍悔有り。子曰く。貴くして位なく。高くして民なし。賢人下位に在りて輔(たすけ)なく。是(ここ)を以て動けば悔あるなり。】是(ここ)を以て動けば悔あるなり。】
□繫辭上伝19
不出戸庭。无咎。子曰。亂之所生也。則言語以為階。君不密。則失臣。臣不密。則失身。幾事不密。則害成。是以君子慎密而不出也。
【戸庭を出ず。咎なし。子曰く。亂の生ずる所は。則ち言語を以て階(かい)と成す。君(くん)密ならざれば。臣を失い。臣密ならざれば。則ち身を失う。幾事(きじ)密ならざれば。則ち害を成す。是を以て君子は慎(しん)密(みつ)にして出(いだ)さざるなり。】【戸庭を出ず。咎なし。子曰く。亂の生ずる所は。則ち言語を以て階(かい)と成す。君(くん)密ならざれば。臣を失い。臣密ならざれば。則ち身を失う。幾事(きじ)密ならざれば。則ち害を成す。是を以て君子は慎(しん)密(みつ)にして出(いだ)さざるなり。】
□繫辭上伝20
子曰作易者其知盜乎。易曰。負且乘。致寇至。負也者。小人之事也。乘也者。君子之器也。小人而乘君子之器。盜思奪之矣。上慢下暴。盜思伐之矣。慢藏誨盜。冶容誨淫。易曰。負且乘。致寇至。盜之招也。
【子曰く。易を作る者は其れ盜(とう)を知るか。易曰く。負い且つ乘る。寇(あだ)易を作る者は其れ盜(とう)を知るか。易曰く。負い且つ乘る。寇(あだ)の至るを致す。負うとは。小人の事なり。乘るとは君子の器なり。小人にして君子の器に乘れば。盜(とう)之を奪わんと思う。上(かみ)慢にして下(しも)暴なれば。盜(とう)之を奪わんと思う。上(かみ)慢にして下(しも)暴なれば。盜之を伐たんと思う。慢藏(まんぞう)は盜を誨(おし)え。冶(や)容(よう)は淫を誨う。易曰く。負い且つ乘る。寇の至るを致す。盜を之招くなり。】誨(おし)え。冶(や)容(よう)は淫を誨う。易曰く。負い且つ乘る。寇の至るを致す。盜を之招くなり。】
□繫辭上伝21
天一地二。天三地四。天五地六。天七地八。天九地十。天數五。地數五。五位相得而各有合。天數二十有五。地數三十。凡天地之數。五十有五。此所以成變化。而行鬼神也。大衍之數五十。其用四十有九。分而為二以象兩。掛一以象三。揲之以四。以象四時。歸奇於扐以象閏。五歲再閏。故再扐而後掛。
【天一地二。天三地四。天五地六。天七地八。天九地十。天數五。地數五。五位相い得て各々合うなり。天數二十有五。地數三十。凡そ天地の數は。五十有五。之變化(へんか)を成して鬼神を行う所なり。大衍(だいえん)の數は五十にして。其の用は四十有九なり。分ちて二と為し以て兩(りょう)に象る。一を掛けて以て三に象る。之を揲(かぞ)えるに四を以し。以て四時に象り。奇(き)を扐(ろく)に之變化(へんか)を成して鬼神を行う所なり。大衍(だいえん)の數は五十にして。其の用は四十有九なり。分ちて二と為し以て兩(りょう)に象る。一を掛けて以て三に象る。之を揲(かぞ)えるに四を以し。以て四時に象り。奇(き)を扐(ろく)に歸(き)して以て閏(じゅん)に象る。して以て閏(じゅん)に象る。五歳にして再閏(さいじゅん)す。故に再扐(さいろく)して後(のち)掛(か)く。】故に再扐(さいろく)して後(のち)掛(か)く。】
□繫辭上伝22
乾之策。二百一十有六。坤之策。百四十有四。凡三百有六十。當期之日。二篇之策。萬有一千五百二十。當萬物之數也。是故。四營而成易。十有八變而成卦。八卦而小成。引而伸之。觸類而長之。天下之能事畢矣。顯道神德行。是故可與酬酢。可與祐神矣。子曰。知變化之道者。其知神之所為乎。
【乾の策は。二百一十有六。坤の策は。百四十有四。凡そ三百有六十にして。期の日に當(あた)る。二篇の策は。萬有一千五百二十。萬物の數に當るなり。是故に。四營して易を成し。十有八變して卦を成す。八卦にして小成し。引いて之を伸べ。類に觸れて之を長ずれば。天下の能事(のうじ)畢(おわ)る。道を顯(あき)らかにして德行を神にす。是故に與(とも)に酬(しゅう)酢(さく)すべく。畢(おわ)る。道を顯(あき)らかにして德行を神にす。是故に與(とも)に酬(しゅう)酢(さく)すべく。與に神を祐(たす)祐(たす)くべし。子曰く。變化の道を知る者は。それ神の為す所を知るか。】
□繫辭上伝23
易有聖人之道四焉。以言者尚其辭。以動者尚其變。以制器者尚其象。以卜筮者尚其占。是以君子將有為也。將有行也。問焉而以言。其受命也如響。无有遠近幽深。遂知來物。非天下之至精。其孰能與於此。
【易に聖人の道四つ有り。以て言う者は其の辭を尚(たっと)び。以て言う者は其の辭を尚(たっと)び。以て動く者は其の變を尚び。以て器を制する者は其の象を尚び。以て卜筮をする者は其の占尚び。是(ここ)を以て君子將(まさ)に為す有らんとするや。將に行う有らんとするや。焉(これ)に問うて以て言う。其の命を受けるや響(ひびき)の如し。遠近幽(えんきんゆう)深(しん)有(ある)是(ここ)を以て君子將(まさ)に為す有らんとするや。將に行う有らんとするや。焉(これ)に問うて以て言う。其の命を受けるや響(ひびき)の如し。遠近幽(えんきんゆう)深(しん)有(ある)无(な)く。遂に來(らい)物(ぶつ)を知る。天下の至(し)精(せい)に非ざれば。く。遂に來(らい)物(ぶつ)を知る。天下の至(し)精(せい)に非ざれば。其れ孰(た)れか能く此に與(あずか)らん。】
□繫辭上伝24
參伍以變。錯綜其數。通其變。遂成天地之文。極其數。遂定天下之象。非天下之至變。其孰能與於此。易无思也。无為也。寂然不動。感而遂通天下之故。非天下之至神。其孰能與於此。
【參伍(さんご)參伍(さんご)以て變じ。其の數を錯綜(さくそう)す。其の變に通じ。遂に天地の文(ぶん)文(ぶん)を成す。其の數を極め。遂に天下之象を定む。天下の至變に非ざれば。其れ孰(た)れか能く此に與(あずか)らん。易は思う无き也。為す无き也。寂然(せきぜん)として動かず。感じて遂に天下の故(こと)に通ず。天下の至(し)神(しん)に非ざれば。寂然(せきぜん)として動かず。感じて遂に天下の故(こと)に通ず。天下の至(し)神(しん)に非ざれば。其れ孰(た)れか能く此に與(あずか)らん。】
□繫辭上伝25
夫易。聖人之所以極深而研幾也。唯深也。故能通天下之志。唯幾也。故能成天下之務。唯神也。故不疾而速。不行而至。子曰易有聖人之道四焉者。此之謂也。
【夫れ易は。聖人の深を極めて幾を研(つまびらか)研(つまびらか)かにする所以なり。唯だ深なり。故に能く天下の志に通ず。唯だ幾なり。故に能く天下の務(つとめ)を成す。唯だ神なり。故に疾(と)疾(と)くせずして速かに。行かずして至る。子曰く。易に有聖人の道四つ有りとは。此れを謂うなり。】
□繫辭上伝26
子曰。夫易。何為者也。夫易開物成務。冒天下之道。如斯而已者也。是故。聖人以通天下之志。以定天下之業。以斷天下之疑。是故。蓍之德。圓而神。卦之德。方以知。六爻之義。易以貢。聖人以此洗心。退藏於密。吉凶與民同患。神以知來。知以藏往。其孰能與此哉。古之聰明叡知神武而不殺者夫。
【子曰く。夫れ易は。何為(す)為(す)る者ぞや。夫れ易は物を開いて務めを成し。天下の道を冒(おお)う。斯(かく)の如き已む者なり。斯(かく)の如き已(や)む者なり。是故に。聖人は以て天下の志に通じ。以て天下の業を定め。以て天下の疑いを斷ず。是故に。蓍(し)の德は。圓にして神。蓍(し)の德は。圓(えん)にして神。卦の德。方にして知。六爻の義は。易(かわ)りて以て貢(つ)ぐ。六爻(りくこう)の義は。易(かわ)りて以て貢(つ)ぐ。聖人は此以て心を洗い。密に退藏(たいぞう)す。吉凶民と患(うれ)いを同じくし。神以て來を知る。知以て往を藏(かく)藏(かく)す。其れ孰(た)れか能く此に與(あずか)らんや。古えの聰明叡(そうめいえい)知(ち)神武にして殺さざる者か。】知(ち)神武にして殺さざる者か。】
□繫辭上伝27
是以。明於天之道。而察於民之故。是興神物以前民用。聖人以此齊戒。以神明其德夫。是故。闔戶謂之坤。闢戶謂之乾。一闔一闢謂之變。往來不窮謂之通。見乃謂之象。形乃謂之器。制而用之。謂之法。利用出入。民咸用之。謂之神。
【是(ここ)を以て天の道を明らかにして。民の故(こと)を察し。是に神物を興して以て民用に前(さき)んず。聖人此を以て齊戒(さいかい)し。以て其の德を神明にするかな。是故に【是(ここ)を以て。天の道を明らかにして。民の故(こと)を察し。是に神物を興(おこ)して以て民用(みんよう)に前(さき)んず。聖人此を以て齊戒(さいかい)し。以て其の德を神明にするかな。是故に。戸を闔(とざ)す之を坤と謂う。戸を闢(ひら)く之を乾と謂う。一闔(こう)一闢(へき)之を變と謂う。往來窮(きわ)まらざる之を通と謂う。見(あらわ)一闔(こう)一闢(へき)之を變と謂う。往來窮(きわ)まらざる之を通と謂う。見(あらわ)れば乃ち之を象と謂う。形あれば乃ち之を器と謂う。制して之を用うる。之を法と謂う。利用(りよう)出入(しゅつにゅう)。民咸(ことごと)く之を用うる。利用(りよう)出入(しゅつにゅう)。民咸(ことごと)く之を用うる。之を神と謂う。】
□繫辭上伝28
是故。易有太極。是生兩儀。兩儀生四象。四象生八卦。八卦定吉凶。吉凶生大業。是故。法象莫大乎天地。變通莫大乎四時。縣象著明莫大乎日月。崇高莫大乎富貴。備物致用。立成器以為天下利。莫大乎聖人。探賾索隱。鉤深致遠。以定天下之吉凶。成天下之亹亹者。莫大乎蓍龜。
【是故に。易に太極有り。是れ兩儀を生ず。兩儀四象を生じ。四象八卦を生ず。八卦吉凶を定め。吉凶大業を生ず。是故に法(ほう)象(しょう)。法(ほう)象(しょう)は天地より大なるは莫(な)く。變通は四時より大なるは莫く。縣(けん)象(しょう)の著明は日月より大なるは莫く。縣(けん)象(しょう)の著明(ちょめい)は日月より大なるは莫く。崇高は富貴より大なるは莫し。物を備えて用を致し。成器を立てて以て天下の利を為すは。聖人より大なるは莫し。賾(さく)を探り賾(さく)を探り隱(いん)を索(もと)め。を索(もと)め。深を鉤(かぎ)し遠(えん)を致し。以て天下の吉凶を定め。天下の亹亹(びび)を成す者は。蓍龜(しき)より大なるは莫し。】天下の亹亹(びび)を成す者は。蓍龜(しき)より大なるは莫し。】
□繫辭上伝29
是故。天生神物。聖人則之。天地變化。聖人效之。天垂象。見吉凶。聖人象之。河出圖。洛出書。聖人則之。易有四象。所以示也。繫辭焉。所以告也。定之以吉凶。所以斷也。
【是故に天は神物(しんぶつ)を生ず。聖人之に則る。天地變化す。聖人之に效(なら)う。天象を垂れて。吉凶を見わす。聖人之に象る。河は圖(と)を出(いだ)し。洛は書を出す。聖人之に則る。易に四象有り。示す所以なり。辭(じ)を焉(これ)に繫(か)く。告ぐる所以なり。之を定めるに吉凶を以てす。斷ずる所以なり。】【是故に。天は神物(しんぶつ)を生ず。聖人之に則る。天地變化す。聖人之に效(なら)う。天象を垂れて。吉凶を見(あら)わす。聖人之に象る。河は圖(と)を出(いだ)し。洛は書を出す。聖人之に則る。易に四象有り。示す所以なり。辭(じ)を焉(これ)に繫(か)く。告ぐる所以なり。之を定めるに吉凶を以てす。斷ずる所以なり。】
□繫辭上伝30
易曰。自天祐之。吉无不利。子曰。祐者。助也。天之所助者。順也。人之所助者。信也。履信思乎順。又以尚賢也。是以自天祐之。吉无不利也。
【易に曰く。天より之を祐(たす)く吉にして利あらざるなし。天より之を祐(たす)く。吉にして利あらざるなし。子曰く。祐とは。助なり。天の助ける所は順なり。人の助ける所とは。信なり。信を履み順を思い。又以て賢を尚なり。是(ここ)を以て天より之を祐(たす)く。是(ここ)を以て天より之を祐(たす)く。吉にして利あらざるなしなり。】
□繫辭上伝31
子曰。書不盡言。言不盡意。然則聖人之意。其不可見乎。子曰。聖人立象以盡意。設卦以盡情偽。繫辭以盡其言。變而通之以盡利。鼓之舞之以盡神。
【子曰く。書は言を盡(つく)さず。言は意を盡さず。然らば聖人の意は其れ見るべからざるか。子曰く。聖人は象を立てて以て意を盡し。卦を設けて以て情(じょう)偽(ぎ)を盡し。卦を設けて以て情(じょう)偽(ぎ)を盡し。辭を繫けて以て其の言を盡し。變じて之を通じ以て利を盡し。之を鼓(こ)し之を之を鼓(こ)し之を舞(ぶ)して以て神(じん)を盡す。】して以て神(じん)を盡す。】
□繫辭上伝32
乾坤其易之縕邪。乾坤成列。而易立乎其中矣。乾坤毀。則无以見易。易不可見。則乾坤或幾乎息矣。是故。形而上者謂之道。形而下者謂之器。化而裁之謂之變。推而行之謂之通。舉而錯之天下之民。謂之事業。
【乾坤は其れ易の縕か。乾坤は列を成し。易は其の中に立つ。乾坤毀(やぶ)れれば以て易を見るなし。乾坤毀(やぶ)れれば。以て易を見るなし。易見るべからざれば。乾坤或いは息むに幾(ちか)し。是故に。形而上なる者之を道と謂い。形而下なる者之を器と謂う。化して之を裁(さい)する之を變と謂い。推して之を行う之を通(みち)と謂う。推して之を行う之を通(みち)と謂う。舉げて之を天下の民に錯(お)く。之を事業と謂う。】
□繫辭上伝33
是故。夫象。聖人有以見天下之賾。而擬諸其形容。象其物宜。是故謂之象。聖人有以見天下之動。而觀其會通。以行其典禮。繫辭焉。以斷其吉凶。是故謂之爻。極天下之賾者。存乎卦。鼓天下之動者。存乎辭。化而裁之。存乎變。推而行之。存乎通。神而明之。存乎其人。默而成之。不言而信。存乎德行。
【是故に夫(か)の象は。聖人は以て天下の賾(さく)を見る有りて。其の形容に擬(なぞ)らえ。【是故に夫(か)の象は。聖人は以て天下の賾(さく)を見る有りて。其の形容に擬(なぞ)らえ。其の物宜(ぶつぎ)物宜(ぶつぎ)に象る。是故に之を象と謂う。聖人は以て天下の動を見る有りて。其の會通(かいつう)を觀て。以て其の典禮を行う。辭を繫けて其の會通(かいつう)を觀て。以て其の典禮(てんれい)を行う。辭を繫けて。以て其の吉凶を斷ず。是故に之れを爻と謂う。天下の賾を極める者は。卦に存し。天下の動を鼓(こ)する者は辭に存す。化して之を裁するは天下の動を鼓(こ)する者は。辭に存す。化して之を裁するは。變に存し。推して之を行うは。通に存す。神にして之を明にするは。其の人に存す。默して之を成し。言わずして信なるは。德行に存す。】