変卦(之卦・綜卦・互卦・錯卦)
変卦とは
人間の運命は変転し続けて休まる所がありません、自分の人生を振り返り思い返せば、一時も止まる事が無かった様に運命は変転して止むことが無い存在です。始まりがあれば終わりがあり、栄枯盛衰を繰り返すのが運命ですが、その運命を掴もうとするのが易占です。目に見えない運命を算木にあらわして、その変転し止むことがない運命を読もうとするのが『変卦』です、易占で本卦を得て本卦だけを観て判断するのは一面的な見方でありまして、そうすると浅い易断となります。奥行きのある易断を下そうと思えば多面的な視野が必要となります、多面的に運命を観るために本卦の之卦・綜卦・互卦・錯卦も易断の中には考慮しなければなりません。
象意:中期的・実現・次の転開・能動
占筮で得た本卦の変爻が陰であれば陽に変化させ、陰であれば陽に変化させて現れた卦が『之卦』です、之卦は中期的な未来の運命を予見する意義があります。図の様に乾為天九五を本卦で得ると、九五の陽を陰に変爻させると火天大有になります、これを乾為天から火天大有に『之く』と申します。例えば乾為天九五から火天大有に之くとなれば、龍が天に昇るが如く好調を維持しながら、後に大きな力や勢力を所有するであろうと易断を下す訳です。次の展開が分かるからこそ、運命の流れに従って能動的に動いて物事を実現していく事が叶います。
象意:第三者的視点・客観的・全体・現実
占筮で得た本卦を180度回転させた卦が『綜卦』です、綜卦は本卦を第三者的視点で観た場合の卦でありまして、運命を客観的に観る場合に用います。例えば沢水困の本卦を得た場合、綜卦は水風井となりますから、沢水困の困難は客観的に観れば水風井の自己修養でありますから、現在行っている事は的を射るので大いに努力しなさいという易断を下す訳です。自分から見る視点と、他人から見る視点が加わるから全体像が掴めて現実的な判断を下す事が叶います。
卦の本質をあらわす『互卦』
互卦:本卦の二・三・四爻を内卦と観て三・四・五爻を外卦と観る
本質・中心・根本・理想
占筮で得た本卦の二・三・四爻を内卦に見立て、三・四・五爻を外卦と見立て完成した卦が『互卦』です、互卦は本卦の本質部分を観る変卦です、勢いの弱い初爻と無位である上爻を除いた、中心の爻である二・三・四・五爻の本卦が持つ本質的で中心的な所があらわれるので、互卦は本質的に観る事に用います。例えば図の様に、地沢臨の互卦は地雷復ですが、行き詰っていた所から心機一転して現状を打破していく臨機応変力が身についてくるという様な本質的な部分が観えてきます。
陰陽の逆転的変化『錯卦』
錯卦:本卦の陰陽を裏返した卦
逆転・逆説・裏側・悲観的
占筮で得た本卦の爻の位置は変えずにそのままにして、陰と陽を全て逆転させるのが『錯卦』です、錯卦は本卦の裏側を観る変卦です。表が本卦とすれば裏が錯卦でありますから、卦を逆説的に観るという事になりますから、逆の方向に進んだ時はどうなるか、物事が裏目にでたらどうするかという、悲観的な目線を持って、何を為すべきなのかを暗示します。例えば図の様に、水火既済の錯卦は火水未済でありますから、物事が極まって完成を見ると、その後には必ず崩壊するという事を観る事が叶います。