宇宙の森羅万象を現わす『八卦』
四象八卦を生じる
太極から陰陽、四象と生じて、下から生じた陰陽の根本たる造化の作用と上で交わる陰陽の生成・化育の作用、その結果として『八卦』が生れた。読み方は「はっけ」でも「はっか」と何方でも宜しく、八卦位までに陰陽が交わってくると、より私たち人類の運命に直接的作用を齎す事柄であります。宇宙森羅万象が宇宙の創造に端を発し、陰陽という偉大な見えざる『氣』が、四象を生成・化育する。氣というのは電気の様に目には見えないが確実に存在する物事を現わします。この宇宙の真理には「形の無い物が先に出来て、後に形のある物が出来る」という命の法則がありますから、何事においても『陰陽二氣』が初めにあって、その後に『四象』を生成・化育するように物質的となってくる。陰陽二氣が交わる事によって様々な物が生じて、その交わる動きが更に抹消化してくると八卦となってくる。八卦とは乾(☰)兌(☱)離(☲)震(☳)巽(☴)坎(☵)艮(☶)坤(☷)の象で現わします。
八卦象意 ※別図3 八卦象意
両儀・象と続いて、より具象的である『卦』へと進化している。乾は老陽の上に陽が生じる純陽の卦で、『乾』には天の作用を現わす字義がありまして「乾かす」というのは、日光で洗濯物を乾かすというのは天の数ある作用の中のひとつの乾であり、その様に乾というのは天の性質・作用を色濃く残しています。『兌』は老陽の上に陰が生じる陰性の卦です。陰陽は少数派が強いという法則があります、例えば無人島に漂流をして女性一人・男性五人という状況の時に、その一人の女性を求めて五人の男性が争うのは良くある御話で、またその逆も然りです。陰陽という物は少数派には希少性があり少数派というのは兎角、人の耳目を集めやすいというのも命の作用ですが、兌は一陰二陽の卦であり、その一陰が主となる訳です、それを易では『主爻』と申しますが、兌は陰の主爻を持ちますから陰性の卦と観る訳です。兌は『沢』を現わします、荒涼たる砂漠の中に突如出現したオアシスの様に万物を「悦ばせる」という象意があります。
『離』は少陰の上に陽が生じた陰性の卦です。離は『火』を現わします、人類が火を持つ事によって文明が一気に進化したように火には「知恵」という象意があります。震は『雷』を現わします、少陰の上に陰が生じた陽性の卦です、雷は激しく活動するので「動」という象意があります。巽は『風』を現わします、少陽の上に陽が生じた陰性の卦です、風は何処にでも吹いて入っていくというので「入る」という象意があります。坎は『水』を現わします、少陽の上に陰が生じた陽性の卦です、水は人に恵みを齎す一方で洪水や干ばつという苦しみを与える所より「艱難」を現わします。艮は『山』を現わします、老陰の上に陽が生じた陽性の卦です、動かざること山の如しで「止まる」という象意があります。坤は『地』を現わします、老陰の上に陰が生じた陰性の卦です、地は大きな山でも大河であったとしても、それを柔軟に「乗せる」という象意があります。
八卦と家族構成 ※別図4
「乾は天なり。故に父と称す。坤は地なり。故に母と称す。」という説卦伝の中にある辞の中には、八卦に家族構成の象を見出しております。
陽性のグループ
乾(☰) 父
震(☳) 長男 30~40歳
坎(☵) 二男 15~30歳
艮(☶) 三男 5~15歳
陰性のグループ
坤(☷) 母
巽(☴) 長女 30~40歳
離(☲) 二女 15~30歳
兌(☱) 三女 5~15歳
長男は最初に生じた陽であり震、二男は二番目の陽で坎、三男は三番目の陽で艮となります。長女は最初に生じた陰である巽、二女は二番目の陰で離、三女は三番目の陰で兌となります。長男の震は雷で一家を纏める決断力・行動力が必要であり、二男の坎は水で我慢の中で自己を統制して道を拓く必要がある、三男の艮は山であり緩慢に流されやすい性質なので打ち込めるような物事を見つけその道に没我・没入しなければならない。長女の巽は風でありますから、様々な所に出入りをして、その場に順応する必要があり、二女の離は火ですから智慧を磨き生かす事が大事で、三女の兌は沢ですから笑顔でいる事が人生を華やかにする。この様に八卦には家族の象意がありまして、長男・雷・行動力・決断などなど・・・・・・と連想をしていく事が象意を読み取るという事です。