4.山水蒙 内卦:坎 外卦:艮

陰陽 時位 象意
上九 不正 スパルタ
六五 柔剛天 優等生
六四 過柔 指導者不在
六三 不正 貞操のない者
九二 剛柔中主 先覚者
初六 柔剛 啓蒙

 

4.山水蒙 【啓蒙

 

【序卦伝】

物生必蒙。故受之以蒙。蒙者。蒙也。物之稺也。

【書き下し】

物生れて必ず(くら)し。故に之を受くるに(もう)を以てす。蒙は。(くら)き也。物の(おさな)也。

【注釈】

物が生まれた時は必ず暗くぼんやりしている。だから之を受くるに(もう)を以てす。蒙は暗いという事だ。物がまだ幼稚なことである。天地創造から一歩進んで混沌から脱却しない時。 

 

【彖伝】

蒙。山下有險。險而止。蒙。蒙亨。以亨行時中也。匪我求童蒙。童蒙求我。志應也。初噬告。以剛中也。再三瀆。瀆則不告。瀆蒙也。蒙以養正。聖功也。

【書き下し】

蒙は。山の下に(けん)有り。(けわ)しくして止まるは。蒙なり。蒙の亨るは。亨ることを以て行きて時に中すなり。我(どう)(もう)を求むるに匪ず。童蒙我を求むとは。志し(おう)ずるなり。初噬(しょぜい)すれば告ぐ。剛中を以てなり。再三すれば(けが)れ。瀆れるときは則ち告げず。蒙を瀆すなり。蒙は以て養うこと正し。聖の功なり。

【注釈】

蒙は山の下に険しい所がある形で。険しくて進めずに止まるのは蒙である。蒙が妨げなく行われるのは。物事を通じさせる時において中庸を実行するからである。師から出向いて童蒙に教えを説くのではなく。童蒙から問われたときに教えるのが学問の道であり。その純粋な学ぶ心が感じあうのである。誠心誠意の初筮には神はお告げをお出しになるが、同じ占いを何度も行うのは占いの道に反し冒涜する行為であり。それは蒙を汚す行為である。童蒙が学問に志すのは尊い功である。

 

象伝】

山下出泉。蒙。君子以果行育德。

【書き下し

山の下に泉を出だす。蒙。君子以て果行育德(かぎょういくとく)す。

【注釈】

山の下に泉が湧き出るのは。蒙。君子は自分の(ぎょう)を成し遂げて、徳を育てる。

 

【卦辞】

蒙。匪我求童蒙童蒙来求我初筮告再三瀆瀆則不告利貞

【書き下し】

蒙は。亨る(どう)(もう)我を求むるに匪らず童蒙来たりて我を求む初筮すれば告げ再三すれば(けが)れる瀆れれば(すなわ)()げず(ただ)しきに(よろ)しい

【注釈】

蒙。。:今は幼稚にして十分に発達していないが後に必ず発達する。

匪我求童蒙童蒙来求我。:師たる者は童蒙が願いもしないのに師から出かけて行って教える道は無く、弟子たる童蒙から教えを願い求められる事によって始めて教える。師の道を説いた言葉。

初筮告再三瀆瀆則不告。:誠心誠意の初筮には神はお告げをお出しになるが、同じ占いを何度も行うのは占いの道に反して正しいお告げを得られる事はない。童蒙が真心を以て求める時には師はそれを教え、童象が疑惑の心を以て教えを求める時は、道や師を汚す者であるので師たる者は教えない。 

利貞。:明智を隠して得意気に見せつけない。 

陽爻が師・陰爻が童蒙 

 

【字義】

蒙:木にまといつくツル草

 

【大象意】

童蒙・蒙昧・幼い・暗い・見えない 

 

【運勢】 

・百事迷いがあり決断なき象。

・智恵あるが取り回しが悪い為に心労する。 

・蒙昧であるが故に正を養うのに良い。 

・相手から教えを求められた時は答え、求められていないのに教えてはならない。 

・才德は包み隠す時。

・迷いに結着をつける時。

 

 

 

4.1 山水蒙初六 【啓蒙】

 

象伝】

利用刑人。以正法也。

【書き下し

(もつ)て人を刑するに利あり。以て法を正しくす。

【注釈】

人を処罰するのに効率が良い。それによって法律を正しく運用する。

 

【卦辞】

利用刑人桎梏以往吝 

【書き下し】

蒙を(ひら)く。(もつ)て人を刑するに利あり用て桎梏(しっこく)()以て往けば吝 

【注釈】

。:九二の先覚者によって蒙昧(もうまい)が啓発される。 

利用刑人。:童蒙を啓発するには、先に規則を明らかに示しそれに従わない者は刑罰を用いるのが宜しい。 

桎梏以往吝。:厳罰が強過ぎると反抗されて恥をかく事があるので時にはゆるめてやる必要がある。

 

【字義】

桎梏:手かせ足かせ 

 

【之卦】山沢損 【時位】柔剛

 

【運勢】 

・少し懲らしめて大いに誡める。

・知らず知らずの内に罪を犯す。

・他人を攻めるのは程々にしなければ恥をかく。 

・指導者として相手の進歩が認められればほめる事も必要。 

・目的を見失えば手段に誤まる。 

・ルールをしっかりと制定すべき時。 

 

 

 

 

4.2 山水蒙九二 【先覚者・師】

 

象伝】

子克家。剛柔接也。

【書き下し

子家を()くす。剛柔(まじ)わるなり。

【注釈】

子供が家を立派にする。男女が力を合わせるからである。

 

【卦辞】

包蒙吉納婦吉子克家 

【書き下し】

蒙を()ぬ吉(つま)()るるに吉子家を()くす

【注釈】

包蒙吉。:童蒙を啓発するには度量寛大にしてあらゆる個性の童蒙を包容するに足る器量を持っていれば吉→あらゆる個性の童蒙 初六・六三・六四・六五

納婦吉:六五の婦と応爻して童蒙を良く教え啓発する。

子克家。:卑い身分で子の立場である九二が家を能く治めて臣下が君主を善く教え導くのである。 

 

【之卦】山地剥 【時位】柔剛中主

 

【運勢】 

・結婚吉。 

・教える人と教えを受ける人との意気投合。 

・子がー家を背負う形。

・衆を指揮するに吉。 

・治める相手が多く、性質はまちまちであるから一律にこうでなければならないという事は出来ない。 

・人を広く受け入れて拒まないので多くの人が集まる。 

 

 

 

 

 

 

4.3 山水蒙六三 【貞操のない者】

 

象伝】

勿用取女。行不順也。

【書き下し

女を(めと)るに用うるなかれ。行い(したが)わざるなり。

【注釈】

その女性と結婚してはならない。その女性の行いは従順でないからである。

 

【卦辞】

勿用取女見金夫不有躬无攸利

【書き下し】

女を(めと)るに用うる勿れ金夫(きんぷ)を見て()(たも)たず利する攸なし

【注釈】

勿用取女。:六三は陰柔にして中ならず正しからず、人の守るべき道を知らず心がけの善くない女娶ってはならない。

見金夫。不有躬。:隣に金を沢山持って居り、勢力の盛んなる九二の陽爻に曳かれて、正応する上九に応じて行かない正しく身を保ち守る事の出来ない女。

无攸利。:上手く行く事はない。 

 

【之卦】山風蠱【時位】不正

 

【運勢】 

・金のある男に目が眩んで我が身を忘れてついてゆく女。

・来らんとする者が不正であり安心出来ない。 

・排斥すべき。 

・実力以上の事をすれば災いに合う。

・女性から男性を求める象。

・実力者の勢いを見て交友を求める凶

 


 

4.4 山水 六四 【指導者不在】

 

象伝】

困蒙之吝。獨遠實也。

【書き下し

困蒙の吝。(ひとり)(じつ)に遠ざかればなり。

【注釈】

物を知らなくて悩む恥ずかしさは。自分だけが教えを受けられないからである。

 

【卦辞】

困蒙 

【書き下し】

蒙に困しむ吝なり 

【注釈】

困蒙。:蒙昧にして心が明かに開ける事が無い為に困苦する。比爻も応爻も無く自分を指導してくれる者が無く、蒙昧のままで終るより他は無い。

吝:陰の正位であるので禍を受ける凶ではなく恥を受ける。

 

【之卦】火水未済 【時位】過柔

 

【運勢】 

・孤立無援。 

・手で耳をふさいで人の言を聞かない。 

・環境が悪く他の人の引立もなく自分も力のある者を容れない。 

・間題が見えない。 

・自分を導いてくれる者が無くて憂い悲しむ。

・出口が無い暗闇を進むが如し。

 

 


 

4.5 山水蒙六五 【優等生】

 

象伝】

童蒙之吉。順以巽也。

【書き下し

童蒙の吉。(そん)(じゅん)なり。

【注釈】

童蒙の良さは。従順で謙遜だからである。

 

【卦辞】

童蒙。吉。

【書き下し】

童蒙。吉なり。

【注釈】

童蒙。吉。:高位にありながらも下に降りて九二と応じている童蒙であるが中を得ているので素直であり良く師に従ってへり下って教えを乞うている。艮は少男であるから童蒙先覚者と応じ理想的な童蒙。 

 

【之卦】風水渙 【時位】柔剛天

 

【運勢】 

・自分一個人の意見を先にせず人に従ってやる方が良い経果を得る。 

・子供の事で喜ぶ事を得る。 

・良い師と出会って天分を認められて自分が進むべき道に出会う。 

・自らの愚かさを知るが故に開かれる。

・学習の意欲が高い時。

・問題を解決するのにぶつかって行くより、学習してから行く方が吉。 


 

4.6 山水蒙 上九 【スパルタ 

 

象伝】

利用禦寇。上下順也。

【書き下し

用て(あだ)(ふせ)ぐに利あり。上下(したが)うなり。

【注釈】

害を防ぐのに効率が良い。上下の区分が従順だからである。

 

【卦辞】

擊蒙不利為寇利禦寇

【書き下し】

蒙を()(あだ)を為すに利らず寇を(ふせ)ぐに利あり

【注釈】

擊蒙。:童を教え導く方法が中庸を得ず強きに過ぎる。

不利為寇。:刑罰が烈し過ぎるのは童蒙を教え導いているのではなく、童蒙に攻撃(冠)するという事となる。

利禦寇。:本来は童豪を外部の誘惑(冠)から防いで日々、善い方向に変わってゆく様に指導すべきであるが、上九が強過ぎて穏やかな啓発が出来ない。 童蒙が啓蒙を願って集まるのを利用し殴って害を与える。 

 

【之卦】地水師 【時位】不正

 

【運勢】 

・過激にして親しむ者がいない。 

・他人の過ちを許さず恨を引く

・過激な言行を慎む。 

・人の善悪を責めるのが甚だしい時。 

・物事の見通しがつかず先の見通しが立たない。

・過酷な指導におちいりやすい。